​カーボンプライシングとは

カーボンプライシングとは、炭素に価格をつけて、温室効果ガスの一つであるCO2の排出量に応じて企業や個人にコストを負担させる取り組みです。

​カーボンプライシングを導入することで企業や個人の意識を高められる可能性があります。

日本では、2050年にカーボンニュートラルを実現することを掲げています。

技術革新だけでは目標達成が難しいことから、カーボンプライシングを通じて企業や個人の意識を高め、温室効果ガス排出削減を進める狙いがあります。

カーボンプライシングの取り組み方には、大きく分けて3種類があります。

1. 炭素税

2. 排出権取引

3. 国境調整措置(国境炭素税)

日本では、1.炭素税の一つとも言われている地球温暖化対策税が2012年から課せられていますが、本格的なカーボンプライシングは2021年3月現在、いまだ検討段階にあります。

 

国家としてのカーボンプライシングの他に、企業内にカーボンプライシングを導入するインターナルカーボンプライシングが現在注目されています。

​インターナルカーボンプライシング(ICP)とは、企業内部で独自に自社の炭素排出量に価格を設定し、低炭素社会に向けた施策・投資に活用することです。

インターナルカーボンプライシングの効果は、企業内外それぞれに対して、以下が挙げられます。

1. 長期的視野での低炭素投資・対策の推進(対内部)

2. 低炭素要請に対する企業の姿勢を定量的に提示(対外部)

 

まず、内部への効果としては、炭素価格という指標を定めることにより、全社で共通の指標を持つことができます。

この炭素価格を用いて部門間の活動のばらつきを是正したり、適切な投資を検討したりすることができます。

また、炭素価格は内外環境変化に応じて柔軟に変更することができることから、長期的な視野で効果的な方針を打ち出すことができます。

 

外部向けの効果としては、企業が認識する炭素価格を表現することにより、気候変動対策を加味した経営を行っていることをアピールすることができます。

インターナルカーボンプライシングはCDP(カーボンディスクロージャープロジェクト)レポートの評価項目の一つであったり、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)においても低炭素の投資指標として活用することが推奨されていたりすることから、導入、あるいは導入を目指す企業が増えています。

 

2019年時点で、日本において導入済の企業は84社、2年以内に導入予定の企業は82社あり、今後も拡大する方向です。 インターナルカーボンプライシングを導入するにあたっては、まずその目的を定めることが重要です。

 

目的によって価格設定や活用方法が異なるため、取り組みの要因(内的/外的)と投資行動の緊急度という2軸で目的を整理することから着手する必要があります。

その後、検討すべき事項として順番に、設定価格、活用方法、運用方法があります。

インターナルカーボンプライシングには、設定方法に応じてShadow Price(シャドープライス)とImplicit Carbon Price(インプリシットプライス)と呼ばれる2つの設定価格があります。

シャドープライスは想定価格に基づいて、インプリシットプライスは過去実績に基づいて価格を設定します。

 

設定方法については、排出権価格や同業他社価格、社内協議や数理的な分析という4つの方法がありますが、難易度や温暖化対策の実効性に鑑みて、自社が取り組みやすい方法を選択することが大切です。

インターナルカーボンプライシングの活用方法としては大きく分けて次の3つがあります。

1. 見える化

2. 投資指標への活用

3. 低炭素投資ファンド

 

低炭素投資ファンドとは、排出削減目標の達成や低炭素投資を促進するために、ICPを活用して、各部門におけるCO2排出量に応じた資金を収集する取り組みです。

活用方法としては、「投資基準に反映するかどうか」と「資金のやり取りを行うのか」という観点で方向性を定めて検討する必要があります。

​インターナルカーボンプライシングの運営に当たっては、適用範囲と推進時間軸を関連部署と議論して進めます。

また、価格は時勢に応じて柔軟に見直す必要があるので、見直し方法や主体となる組織など、持続的な運用に向けて、長期的な視点で体制することが大切です。